ターンテーブル
アナログレコードの温かみある音色をもっと身近に――
そんな思いを抱く音楽ファンに嬉しいニュースが届きました。
パナソニックのテクニクスブランドから、プレミアムクラスのダイレクトドライブ
ターンテーブル SL-50C が、2025年10月下旬より発売されます。
これまで「本格派=高価格・複雑なセッティング必須」というイメージがあった
ターンテーブル界隈において、SL-50C は「最小の手間で最大の満足を得たい」
という方向けの選択肢になりそうです。
SL-50C が持つ特徴、気になる音質・使い勝手、そして私なりの期待感を含めてご紹介します。
SL-50C の特徴・スペック概略
まずは、公開情報からまとめた SL-50C のポイントを見ていきます。
色と価格帯・発売時期
- カラー展開:テラコッタブラウン、ブラック、グレー の計3色
- 価格:オープン価格。直販での想定価格は 99,000円(税込) 程度との報道あり
- 発売時期:2025年10月下旬(ただし情勢によって前後の可能性あり)
- 年間生産台数:1,200台予定
音質・機構面でのこだわり
SL-50C は、テクニクスがこれまで培ってきた技術をできるだけ「身近に使える形」で
取り入れたモデルという印象があります。以下が主な仕様・特徴です:
- コアレス・ダイレクトドライブ・モーター の採用。
上位モデルと同一のモーターを利用し、ワウ・フラッター 0.025 %(W.R.M.S.)の
回転精度を実現 - 起動時間(33 1/3回転時):約 0.7 秒
- トーンアーム:ユニバーサル S 字型。
水平回転機構は滑り軸受方式に見直されており、ノイズ特性を改善する設計 - プラッター:アルミダイカスト製。裏面補強リブ付き、モーター磁石を
直接マウントする構造 - インシュレーター:4点支持。SL-1500C/SL-1200MK7 と同種の構造をベースに、
SL-50C の重量に最適化したゴム硬度で調整。
可聴帯域外へ共振ピークを設定する工夫あり - 回路レイアウト:電源回路・モーター制御回路・フォノイコライザー回路を
独立基板化。
トーンアーム・カートリッジ周辺からの配線経路はできるだけ離してノイズ影響を抑制
使い勝手・接続性
SL-50C は「買ってすぐ使える」ことにも配慮がなされています。
- MM型カートリッジ(Ortofon 2M Red)を付属し、あらかじめヘッドシェルに装着済み
- フォノイコライザー回路を内蔵。PHONO入力を持たないアンプやアクティブ
スピーカーでも、LINE入力に直接接続してアナログ再生可能 - 出力系統は PHONO 出力/LINE 出力 を両立
- 設置性にも配慮:プラッターを小型化し、奥行き寸法を抑えた設計
- 配慮された緩衝材・梱包設計。環境性にも配慮して、緩衝材を見直した取り組みあり
寸法・重量など
公開されている寸法なども参考値として記載します。
- 外形寸法:430 × 353 × 128 mm(幅 × 奥行 × 高さ)
- 質量:約 7.1 kg
特に注目したい点・私の視点
SL-50C が魅力的だと感じるポイントを、いくつか挙げておきます。
- 「最初の一台」を強く意識した設計
MMカートリッジとフォノイコライザー内蔵を組み合わせた構成は、
ターンテーブル入門者にもやさしい。
追加機器をほとんど用意せずに始められる設計は、敷居をぐっと下げてくれます。 - 上位機の技術を手に取りやすい価格帯へ
コアレスモーター、独立基板設計、滑り軸受方式トーンアーム、最適化
インシュレーターといった仕様は、通常は数十万円クラスのモデルで見られるもの。
これを約 10 万円クラスで提供しようという挑戦は興味深いです。 - カラー選択・デザイン性の重視
従来の「黒か銀」といった無難な色だけでなく、テラコッタブラウンという
新ジャンルカラーを持ってくるあたり、インテリア的な訴求もかなり意識
していると感じます。
音質だけでなく「見せたい機器」として部屋に置きたくなるビジュアルを
目指しているようです。 - 制約・懸念点も視野に
– フォノイコを内蔵していることは便利ですが、外部高性能なフォノ段を
別に使いたいユーザーには、回路の切替(バイパス)性能やノイズ排除性能が
気になるところ。
– 小型プラッターゆえの慣性量不足が回転安定性にどう響くか?
上位機との差がどの程度残るか?
– 生産台数が限定(1,200台)という点から、初期ロットで入手性や
値崩れリスクも意識しておきたいですね。